未必のトラジェディー あとがき

“並木夏海を殺したのは自分です”という東有理の懺悔の手紙の一文から始まった小説でした。この話が開始された時点で並木夏海は故人なので、作中一度も並木夏海を喋らせないことを徹底しました。回想の中でこう言った、ということはあっても会話は出て来ていないはずです。

昨今色々と話題に上る性的マイノリティー的な話もちらりとは出て来ますが、何か説教臭いことや啓蒙をしたいわけではなくて、ただ一人の人間が生きて死んだ、ということを書きたかっただけでした。きっと人間は色々な顔を持っていて、有理から見た夏海、はすみから見た夏海、両親から見た夏海、陽加から見た夏海はそれぞれ一致するものはない、当然晶穂の知る夏海とも違って、だから晶穂は迷走してしまい、混乱もして…書いてる私が一番混乱しました!

ちなみに店長が晶穂に話したことはアウティングではなく、夏海が生前店長に何かにあれば晶穂に話してくれ、と頼んでいた内容です。念のため…。

私自身、もう随分前に祖母を亡くしているのですが、とにかく受容ができなくて立ち直るのに何年も何年もかかった人間でした。一時期は仕事もできないくらいに落ち込み、部署異動もしましたし、何もしなくても泣けて来たり、頻繁に祖母や家族が夢に出て来る時期がありました。当時は人が死ぬドラマや映画、アニメさえ見るのが辛く、こうして人一人の死を扱った小説が書けたのは、今だからです。有理も陽加もはすみも、そして晶穂も、きっと受容できるようになるまでの年数は違うのだろうなと思いながら、この小説の終わりを書きました。

続きから細かい裏設定など。

続きを読む

私の愛したカンパネラ あとがき

随分前にブログにカンパネラあとがきを書いていたのですが、無料サーバーだったためにいつの間にかお知らせもなくサービス終了し、全ての記事が消えてしまいました。書き終えた直後の気持ちを思い出しながらちょっとずつ書こうと思います。

長らく小説の執筆から離れていたのですが、丁度新型コロナウイルスが流行し始め、自分の行っている音楽活動も止まってしまい、それでも何か発信したいと思い、始めたのが小説執筆でした。その頃、テレビがきっかけでとあるピアニストの方のファンになったため、音楽の話がいいなと思い、連載を進めながら付け焼刃で知識も入れていました。今読み返すともっとちゃんと調べてから書けば…と思いますが、あの頃は多分、まず書き始める勢いが一番必要だったのだろうなと思います。

そんなこんなで見切り発車で書き始めた『私の愛したカンパネラ』ですが、約一年三か月かけて完結できたことは、小説を書く自信になりました。過去、連載を完結させられた作品が少なかったので…。

ここからは各人物に分けて作中出せなかったネタや設定を小出しにしていこうと思います。それらを利用して今後も番外編を生み出していけたらな、と思っています。

続きから細かい裏設定など。

続きを読む

2024.1.14 文学フリマ京都8

二度目の文学フリマ京都でした。今回もお馴染み(と勝手に思っている…!)、『PRIMAVERA LABEL』の花野木あやさん、『ブルウメロウ』の水純みをさんと隣接させていただきました。お二人と会えるのは文フリの時くらいなので、久し振りに会えるのも楽しみの一つです!

今回の配置、入り口と宅配搬出口の間だったため、とにかく風が通り抜けて寒い寒い…。酔い止めで眠気が激しいこともあって、もう、全然エンジンがかかりませんでした。コートにくるまってガタガタ震えながらスペースから動くことができず、お買い物も億劫になってしまったのが悔やまれます。前回の京都がそんなに寒くなかったので、完全に油断しておりました。回りたかったブースを全然回れず…!悲しい…!

続きを読む

2023.9.10 文学フリマ大阪11

初めての文学フリマ大阪でした。今回も隣接で『PRIMAVERA LABEL』の花野木あやさん、『ブルウメロウ』の水純みをさんとご一緒させていただきました。

とんでも雨女の私、季節柄台風を心配していたのですが、当日は無事に晴れてくれました!お陰で暑かったですけどね…!実は前乗りしていたのですが、東京を出る時には雨が降っていて、キャリーにもカバーをかけて移動しました。関西が近付くに連れ、雨も止んで本当に良かったです。

続きを読む